ビットコインの難易度調整とは

ビットコインの難易度調整とは

ビットコインの難易度調整とは、マイニングを行う際に行うナンス値の発見の難易度を調整することです。ビットコインなどの取引を承認し、新しいブロックを生成するためにかかる時間を10分前後と設定しています。しかし、実際にはハッシュパワーによって10分を超えることや10分かからないことがあります。その場合に難易度を調整して10分前後となるようにしています。ビットコインは2週間に1度、難易度調整を行い、マイニングにかかる時間を調整しています。以下が、難易度調整の概要です。

難易度調整の仕組み&特徴

  • ブロックチェーンの特性
    仮想通貨のブロックチェーンは、新しいトランザクションを含むブロックを定期的に採掘し、ネットワーク全体に追加します。ブロックの採掘は、高度な計算力を必要とし、競争的なプロセスです。
  • ブロックの生成速度
    ほとんどの仮想通貨ネットワークでは、新しいブロックが一定の間隔で生成されるように設計されています。たとえば、Bitcoinの場合、新しいブロックは約10分ごとに生成されます。この生成速度は、ネットワークの安定性とセキュリティを維持するために重要です。
  • 難易度調整の必要性
    ブロック生成速度を一定に保つために、ブロックの採掘難易度は定期的に調整される必要があります。なぜなら、ネットワーク上の採掘者(マイナー)の数や計算力が変動するため、難易度を調整しないと、ブロック生成速度が安定しなくなり、ネットワークが脆弱になる可能性があります。
  • 採掘難易度
    ディフィカルティとも呼ばれ、マイニングによりブロックを生成する難易度を指します。ビットコインのブロックは約10分に1つ生成されるように設定されていますが、この10分という数値はマイニング機器の性能向上や、マイナーの増減によってハッシュレート(採掘速度)が上下し、10分より長くなったり、短くなったりします。そのため、採掘難易度は2016ブロックごとに再計算されることで、ビットコインのブロック生成が10分から大きく逸脱しないようにプログラムされています。これを「難易度調整(ディフィカルティ・アジャストメント)」または「リターゲット」と呼びます。そして2016ブロックという期間を「リターゲット期間」といいます。10分に1つずつブロックが生成されるため、2016ブロックのリターゲット期間は約14日間となっています。
  • ハッシュレート
    ハッシュレートとはマイニングに使用するマシンの計算速度や処理速度を表す単位で、1秒間に1回の計算が行われた場合、1H/sと表します。ハッシュレートが大きくなるほど処理される計算が多いことを意味します。ハッシュレートはハッシュパワーとも呼ばれています。ビットコインのマイニングは約10分に1度のペースで行われるように調整されていますが、ハッシュレートが大きくなると、短時間でマイニングが行われてしまうことになります。そのため、ハッシュレートが大きくなると、難易度が調整されることになります。これが難易度調整です。ハッシュレートが上昇する要因として、マイナーの増加やPCの性能の上昇などが挙げられます。また、ハッシュレートの上昇はネットワークセキュリティの安全性が高まることを意味します。こうしたことから、ハッシュレートが上昇すると価格も上昇しやすいという側面があります。
  • 調整アルゴリズム
    各仮想通貨は、難易度を調整するための独自のアルゴリズムを持っています。このアルゴリズムは、過去のブロック生成速度の変動を考慮し、次の調整のために新しい難易度を計算します。変動が大きい場合、難易度が上がるか下がるかが決定されます。
  • 頻度
    難易度の調整頻度は仮想通貨によって異なります。Bitcoinの場合、約2週間ごとに難易度が調整されます。これにより、ネットワークが急激な変動に対応できるようになります。

難易度調整は、仮想通貨のブロックチェーンネットワークの安定性を保ち、ブロック生成速度を一定に保つために不可欠なプロセスです。このプロセスにより、新しいトランザクションを迅速かつセキュアに処理することが可能になり、ネットワークの利用者や採掘者にとって公平な環境が提供されます。

仕組み&特性の詳細 – 採掘難易度

ビットコインのマイニングの難易度は、ブロックチェーンの特性に密接に関連しています。下記が、この関連性に関する主なポイントです。

採掘難易度に関する「ブロックチェーンの特性」とは

「ブロックチェーンの特性」とは

  • ブロックの生成速度の維持
    ビットコインのブロックチェーンは、一定の速度で新しいブロックが生成されるように設計されています。難易度の調整は、この生成速度を一定に保つために行われます。ブロックの生成速度をコントロールすることで、取引の処理や新しいビットコインの発行が予測可能なペースで行われます。
  • セキュリティの確保
    ブロックチェーンのセキュリティは、多数のマイナーが分散して参加することにより確保されます。難易度の調整は、ハッシュレートが増減する状況に迅速に対応し、ネットワークの攻撃に対するセキュリティを維持します。難易度が十分に高い場合、攻撃者がネットワークを攻撃するのは難しくなります。
  • 新しいビットコインの発行
    ビットコインはマイニングを通じて新しいブロックが追加されるごとに発行されます。難易度の調整は、新しいビットコインが一定の速度で発行されるように調整されます。この速度は、ハーフィングイベント(特定のブロック数ごとに報酬が半減するイベント)も考慮されています。
  • 分散性と耐久性
    ビットコインの分散型ネットワークは、多数のノードが独立してブロックを検証し、新しいブロックを追加することに基づいています。難易度の調整は、ネットワークが均衡し、各マイナーが公平に機会を得ることを保証します。これにより、分散性と耐久性が向上します。
  • インフレーションの管理
    ビットコインの発行量は事前にプログラムされており、難易度の調整はこの発行スケジュールを維持します。新しいブロックが生成される速度が予測可能であることは、ビットコインの供給の安定性を確保します。

これらの特性は、ビットコインの分散型ネットワークが安全で効率的に機能するために重要です。難易度の調整がこれらの特性と密接に関連しており、ブロックチェーンが順調に動作し、セキュリティが確保されていることを保証します。

「ブロックの生成速度」とは

ブロックの生成速度

ビットコインのマイニングの難易度は、ブロックの生成速度に直接関連しています。ビットコインネットワークでは、約10分ごとに新しいブロックが追加されるようにデザインされています。下記は、ブロックの生成速度と難易度の関連性についての詳細です。

  • 目標ブロック生成時間
    ビットコインのプロトコルでは、理想的な目標として約10分ごとに新しいブロックを生成することが定められています。この時間は、ネットワーク全体で取引を処理し、新しいブロックを生成するのに十分な時間であり、ビットコインの供給の予測可能な速度を提供します。
  • 難易度の自動調整
    ビットコインのプロトコルは、約10分ごとに新しいブロックが生成されるように難易度を自動的に調整します。この難易度の調整は、直前の2016ブロックが追加された期間(おおよそ2週間)におけるブロック生成の実績に基づいて行われます。
  • ハッシュレートの変動への対応
    マイナー(ハッシュレートを提供するコンピューター)の数やパワーが変動すると、ブロックの生成速度も変動します。難易度の自動調整は、ハッシュレートの変動に対応して、約10分ごとの目標生成時間を維持します。ハッシュレートが上がれば難易度が上がり、下がれば難易度が下がります。
  • セキュリティと供給の制御
    ブロック生成速度の安定性はセキュリティと新しいビットコインの供給の制御に直接影響します。速すぎる生成速度ではセキュリティが低下し、遅すぎる生成速度では新しいビットコインの供給が不足する可能性があります。目標の生成速度を維持することは、ネットワーク全体の安定性と機能性を保つ重要な側面です。

このように、ビットコインのブロック生成速度はネットワークの健全性とセキュリティに直結しており、難易度の自動調整はこれらを維持するための重要なメカニズムとなっています。

「難易度調整の必要性」とは

採掘難易度に関する「難易度調整の必要性」とは

ビットコインのマイニングの採掘難易度の調整は、ネットワーク全体の安定性と新しいブロックの生成速度を一定に維持するために必要です。以下は、難易度調整の必要性についての詳細です:

  • 一定なブロック生成速度の維持
    ビットコインのプロトコルは理想的な状態として約10分ごとに新しいブロックを生成するようにデザインされています。しかし、マイナーのハッシュレートが変動するため、この目標を達成するためには難易度の調整が必要です。難易度の自動調整により、前回のブロック生成の実績に基づいて次の難易度が設定され、目標の生成速度を保つことができます。
  • ハッシュレートの変動への対応
    マイナーのハッシュレートが変動することは不可避です。新しいハードウェアが導入されたり、エネルギーの価格が変動したりすると、ハッシュレートも変動します。難易度の調整はこれらの変動に迅速に対応し、ネットワーク全体で均衡を保つ役割を果たします。ハッシュレートの急激な変化に対応できないと、ブロック生成が予測不可能になり、ネットワークが不安定になります。
  • セキュリティの確保
    ビットコインのセキュリティは、多数のマイナーが分散してハッシュレートを提供することに依存しています。ハッシュレートが極端に高い場合でも低い場合でも、ネットワークが攻撃に強くなければなりません。難易度の調整は、ネットワーク全体で一定の安全性を確保し、攻撃者がネットワークを攻撃するのが難しくなるようにします。
  • ビットコインの供給の安定性
    ビットコインは新しいブロックが生成されるたびに発行されます。難易度の調整は、新しいブロックの生成速度が一定であることを確保するため、ビットコインの供給を安定させます。予測可能な供給は市場においても重要であり、ビットコインのユーザーと投資家にとって信頼性のある通貨であることを確立します。

難易度の調整はビットコインネットワークの順応性と安定性を確保するために不可欠です。これにより、取引が順調に行われ、セキュリティが維持され、新しいビットコインの供給が予測可能な速度で行われることが可能となります。

採掘難易度に関する主な要素とは

ビットコインのマイニングの採掘難易度は、ネットワーク全体のハッシュレートに基づいて約2週間ごとに自動的に調整されます。この難易度の調整は、ネットワークが目標のブロック生成速度(通常は10分ごとに1つのブロック)を維持するために行われます。下記は、ビットコインのマイニング難易度に関する主な要素です。

  • ハッシュレート
    ネットワーク全体のハッシュレートは、マイナーたちが一秒間に計算できるハッシュ数を示します。これはネットワークの全体的な計算能力を表し、ハッシュレートが高いほどネットワーク全体の計算力が大きくなります。難易度は、前の調整期間におけるネットワーク全体の平均的なハッシュレートに基づいて調整されます。
  • ブロック生成速度
    ビットコインのプロトコルでは理想的な状態として約10分ごとに新しいブロックを生成することが定められています。難易度の調整は、この目標に近づけるために行われます。ハッシュレートが上昇すると難易度も上昇し、ハッシュレートが低下すると難易度も低下します。
  • 調整の周期
    ビットコインの難易度は約2週間ごとに調整されます。具体的には、前回の2016ブロックが生成された期間に基づいて次の難易度が計算され、新しい調整が行われます。これにより、ネットワークが最適なブロック生成速度を維持しやすくなります。
  • ハーフィングイベント
    ビットコインのブロック報酬は、特定のブロック数ごとに半減します(ハーフィングイベント)。これは新しいビットコインの供給を制限する仕組みであり、難易度の調整もこれを考慮しています。ハーフィングが発生すると、マイナーの報酬が半減するため、ネットワーク全体のハッシュレートに変動が生じます。

これらの要素が相互に影響しながら、ビットコインのマイニング難易度は安定的なブロック生成速度を維持し、新しいビットコインの供給を予測可能な速度で行うために調整されます。

「ハッシュレート」が変動する要因とは

ビットコインのハッシュレートは、マイナーがネットワークに提供する計算能力を示します。ハッシュレートが変動する主な要因は以下の通りです:

  • 技術革新とハードウェア進化
    マイニングハードウェアの技術は急速に進化しており、新しいASIC(Application-Specific Integrated Circuit)マイナーが継続的に開発されています。新しいハードウェアが登場すると、それがより高いハッシュレートを提供できるため、古いハードウェアが使われなくなり、ネットワーク全体のハッシュレートが変動します。
  • 電力の価格と入手の容易さ
    マイナーは電力を多く使用します。電力の価格が変動したり、再生可能エネルギーの利用が進むと、マイナーの意向や経済的な要因によってハッシュレートが変動することがあります。
  • ビットコイン価格
    ビットコイン価格の変動は、マイニングの収益性に直接影響します。価格が上昇すれば、マイニングの収益性が向上し、それに応じてハッシュレートも増加することが期待されます。逆に価格が下落すれば、収益性が低下し、ハッシュレートが減少する可能性があります。
  • 報酬の半減イベント(ハーフィング)
    ビットコインの報酬は特定のブロック数ごとに半減するハーフィングイベントがあります。報酬が半減すると、マイナーの収益が減少するため、収益性が低下し、一部のマイナーが撤退する可能性があります。これがハッシュレートの変動に繋がります。
  • 規制環境と法的要因
    ビットコインマイニングは地域によって異なる法的状況や規制に影響されます。法的な不確実性や規制の変更が起きると、マイナーたちのビジネスモデルや計画が変わる可能性があり、それがハッシュレートの変動につながります。
  • 自然災害や事故
    マイニング施設が地震、火災、洪水などの自然災害や事故に見舞われると、ハッシュレートが一時的に減少する可能性があります。これは特にマイニングが集中して行われている地域において影響が大きいです。

これらの要因が相まって、ビットコインのハッシュレートは動的に変動します。ハッシュレートの変動は、ビットコインのマイニング市場の健全性やビットコインネットワーク全体のセキュリティに影響を与える要因となります。

難易度調整アルゴリズムの主な要素とは

ビットコインのマイニングの難易度調整アルゴリズムは、ネットワーク全体のハッシュレートの変動に対応して、ブロック生成速度が目標の約10分ごとに維持されるように調整されます。難易度調整アルゴリズムにはいくつかの主要な要素が含まれています:

  • 調整の頻度
    ビットコインの難易度は約2週間ごとに自動的に調整されます。具体的には、前の調整期間におけるネットワーク全体の平均的なハッシュレートに基づいて、目標のブロック生成速度が維持されるように計算されます。この2週間ごとの頻度により、ネットワークは比較的迅速に変化するハッシュレートに対応できます。
  • ハッシュレートの変動の計算
    調整アルゴリズムは、前の調整期間内におけるネットワーク全体のブロック生成速度が目標からどれだけ逸脱したかを計算します。これにより、ネットワーク全体のハッシュレートの変動に迅速かつ正確に対応できます。
  • 目標ブロック生成時間の維持
    アルゴリズムは、目標のブロック生成時間が約10分ごとに維持されるように難易度を調整します。前の期間のブロック生成速度が目標より速い場合は難易度を上げ、遅い場合は難易度を下げます。
  • ハーフィングイベントの考慮
    ビットコインでは、特定のブロック数ごとに報酬が半減するハーフィングイベントがあります。調整アルゴリズムはこのハーフィングイベントも考慮に入れ、報酬の変化が難易度に及ぼす影響を計算します。
  • 目標ブロック生成時間への収束
    調整アルゴリズムは、目標のブロック生成時間に収束するように計算されます。変動が大きい場合には急激な変化を生じ、目標に近づくにつれて変動が緩やかになります。

これらの要素により、ビットコインの難易度調整アルゴリズムは変動するハッシュレートに迅速かつ効果的に対応し、ネットワークの安定性を維持します。

難易度の調整頻度とは

ビットコインのマイニングの難易度は、ネットワーク全体のハッシュレートの変動に対応して定期的に調整されます。この頻度は「難易度の調整頻度」と呼ばれ、具体的には約2週間ごとに行われます。

具体的なプロセスは以下の通りです:

  • 調整期間
    ビットコインのネットワークは、2016ブロックごとに難易度の調整を行います。この2016ブロックを1つの「調整期間」と呼びます。
  • 目標のブロック生成時間
    ビットコインのプロトコルでは、理想的な状態として約10分ごとに新しいブロックを生成することが目標とされています。
  • 自動的な調整
    調整期間の最後のブロックが生成された時点で、前の調整期間のブロック生成の実績を基にして、目標の10分ごとに新しいブロックを生成するための適切な難易度が計算されます。
  • 新しい難易度の適用
    計算された新しい難易度が、調整期間の最初のブロックから次の調整期間の最初のブロックまでの間、ネットワーク全体に適用されます。これにより、ネットワークは次の2週間にわたって新しい難易度で稼働することになります。
  • 継続的な調整
    ビットコインの難易度はこれを繰り返し、ネットワークのハッシュレートの変動に迅速に対応します。これにより、ネットワーク全体のブロック生成速度が目標の10分ごとに収束するようになります。

難易度の調整頻度が約2週間ごとというのは、ビットコインの設計者がネットワークが十分に安定し、かつ十分なブロック数が生成されてから次の調整を行うことを意図しているためです。この期間はハッシュレートの変動に迅速に対応できるように設計されています。

ビットコイン価格と難易度調整の関係

ビットコイン価格と難易度の調整には複雑な相互関係があります。以下は、ビットコイン価格と難易度調整の主な関係についての解説です。

難易度調整の基本

  • ビットコインのネットワークは、約10分ごとに新しいブロックを追加するように設計されています。これは、ブロックが前のブロックよりも難易度を持っている場合に起こります。
  • ブロックが10分より早く生成された場合、難易度が上がり、10分より遅い場合は難易度が下がります。
  • 難易度調整は、ネットワークのハッシュレートが変化することによって、ブロックの生成ペースを一定に保つために行われます。

ビットコイン価格とハッシュレート

  • ビットコイン価格の上昇は、マイニングがより収益性が高くなる可能性があります。これにより、新しいマイナーが参入し、ネットワークの総ハッシュレートが増加します。
  • 逆に、価格の下落は、一部のマイナーが収益性の低下に対応してマイニングを中止する可能性があり、総ハッシュレートが減少します。

ハッシュレートと難易度調整の影響

  • ハッシュレートの変動は、難易度調整に影響を与えます。ハッシュレートが急速に増加すると、ブロックが10分よりも早く生成されるため、難易度が上がります。
  • 逆に、ハッシュレートが急速に減少すると、ブロック生成が遅れるため、難易度が下がります。

価格と難易度の遅れ

  • ビットコイン価格の変動には難易度調整が追随するタイムラグがあります。価格が急激に変動しても、難易度は約2週間ごとに調整されるため、変動に追いつくまで時間がかかります。

ビットコイン価格、ハッシュレート、および難易度は相互に影響し合います。これらの要素は、ビットコインネットワークの健全性や安定性に大きな影響を与えます。

実際に2017年頃までは、採掘難易度やハッシュレートの上昇幅とビットコイン価格の相関関係が注目されていました。

しかし、2018年頃からその傾向が変化し、以降相関関係は薄れ、関係性は失われつつあります。

  • 黒:BTC/USD
  • オレンジ:難易度

出典:glassnode studio

関連用語

ナンス値

「ナンス値(Nonce)」は、ビットコインのマイニングにおいて使用される特定の数値を指します。このナンス値は、ハッシュ値の計算を通じて条件を満たすために変更されます。

ビットコインのマイニングにおいて、ブロックのヘッダー情報にはトランザクションのデータや前のブロックのハッシュなどが含まれています。このブロックヘッダーの情報を元にSHA-256ハッシュ関数を繰り返し計算し、特定の条件を満たすハッシュ値を見つけることが求められます。その条件は、ネットワークの難易度に応じて変化し、より小さいハッシュ値を見つけるほど難易度が上がります。

ここで、「ナンス値」は、このハッシュ計算を行う際に変更できる唯一の値です。マイナーはブロックヘッダーを使ってハッシュを計算し、条件を満たさない場合、ナンス値を変更して再度計算を行います。このプロセスを繰り返し、条件を満たすハッシュ値を見つけることができるまで続けます。

ナンス値は32ビットの符号なし整数で表され、その範囲は0から約42億までです。マイナーはこの範囲内のナンス値を変更してブロックのヘッダーを再計算し、ハッシュ値が難易度の条件を満たすかどうかを確認します。ナンス値が変更されることで、異なるハッシュ値が生成され、条件を満たす可能性が生まれます。ナンス値の変更は試行錯誤のプロセスであり、この作業が成功すると新しいブロックが生成され、マイナーには報酬が与えられます。